ペットの飲み水について、気にしたことはありますか?
我が家では野良で拾った2匹の猫を飼っています。
1匹目の子が拾った時点で猫エイズを発症していたため、餌や水については人一倍気を使ってきました。
ネットで検索してみると、「ペットの飲み水は水道水で十分」と書かれているサイトが多いです。
大きく間違ってはいないのですが、ここでは「なぜ水道水が無難と言われているのか」についてもう一歩踏み込んで考え、ペットにとって理想的な水について理解を深めましょう。

Contents
ペットの飲み水に最適なのはどんな水?
野生の動物は食べ物から水分を摂取するので、水を飲むことは少ないです。
しかし、ペットとして飼われている動物の主食は大半がドライフードのため、食べ物からの水分摂取がほとんど期待できません。
ペットにとってはフードだけで足りていない水分を補給しなければならないため、飲み水の重要性は高いです。


水のpHと硬度
水には硬水と軟水があることをご存知な方は多いでしょう。
これは水に溶けているミネラル(カルシウム・マグネシウム)の量を表す硬度という数値によって決められ、ミネラルが多い(=硬度が高い)と硬水、ミネラルが少ない(=硬度が低い)と軟水となります。
水にはもうひとつ、pH(ペーハー)と呼ばれる数値があります。
水は主に酸素と水素でできていて、pHとは酸素と水素の割合を表します。
pHは0~14まであり、低いと酸性、高いとアルカリ性、真ん中の7付近だと中性とされます。
おおまかに図にするとこんな感じです。
更に細かく分けると軟水と硬水の間の中軟水や、酸性寄りの中性のことを弱酸性と呼ぶこともありますが、ここでは割愛します。


ペットにいいのは「中性の軟水」
これらの水のうち犬や猫に最適なのは中性の軟水です。
中性の軟水以外の水を飲み続けると、尿道に結石ができる「尿路結石」のリスクが高くなります。
また、長期的に摂取することで腎臓に負担をかけてしまうこともあります。
尿路結石はペットの病気として身近なものですが、痛みもあり、ひどいときは手術になることも。
一度なってしまうと再発もしやすいと言われているので、餌や水には気を使ってあげたいところですね。

硬度では判別できないミネラル成分
水の硬度はカルシウムとマグネシウムの量を表していますが、硬度では判断できない他のミネラル成分として、バナジウム、亜鉛、有機ゲルマニウムがあります。
これらのミネラルが含まれた天然水は希少な価値があるとして人気ですが、ペットに与えると腎臓に負担をかけてしまいます。
長期的に与えると食欲不振・嘔吐・腎不全などが起こることもあるので、ペットの飲み水にはこれらのミネラル成分も含まれていない水がいいでしょう。



ペットに向いてる水はどれ?
水道水はどんな水?ペットに飲ませて平気?
ある程度の地域差はあるものの、水道水は中性の軟水になるよう調整されています。
カルキがペットの体に与える影響への懸念もありますが、置き水として考えれば菌が繁殖しにくいというメリットもあります。
これらのことから、ペットの飲み水は水道水が無難だと言われています。
東京都水道局のホームページによると、水道水のpHは6.8~8.1となっています。
弱アルカリ性とも呼べる数値の水が中性として配水されていることに懸念の声もあります。
また、水が私たちの家に届くまでに通る給水管、マンションや団地の給水タンクの状態については管理が追いついていないという情報もあり、人間よりも繊細な犬や猫といった動物に与える水として、無難ではあっても決して最適というわけではないはという意見もあります。
ミネラルウォーターは飲ませて大丈夫?
ミネラルウォーターとは『容器入り飲料水のうち、地下水を原水とするもの』のことです。
名前にミネラルとついているからといって、ミネラルが多いというわけではありません。
ミネラルウォーターは種類によってpHや硬度が違います。
およそ中性の軟水と呼ばれるpH7前後、硬度50以下のミネラルウォーターであれば、犬や猫に与えても大丈夫です。
ウォーターサーバーの水は飲ませて大丈夫?
ウォーターサーバーの水には天然水とRO水があります。
天然水の場合はミネラルウォーターと同様、メーカーや銘柄によって水質が違います。
公式サイトなどで水質をチェックし、中性の軟水の範囲であれば与えても大丈夫です。
RO水はミネラルなどを極限まで取り除いた水です。
犬や猫の体にとって不要なミネラルが含まれていないので安全な水ですが、「飲まない」「急に切り替えたら下痢をした」という口コミも寄せられています。
RO水ウォーターサーバーの場合は、水道水と混ぜながら与えて、様子を見ながらRO水の割合を増やしていくのがおすすめです。
ペットの飲み水についてのまとめ
このページの内容をまとめておきます。
- 水のミネラル成分に含有量によって硬水と軟水に分けられる
- 水にはpHという数値によってアルカリ性・中性・酸性に分けられる
- ペットに良いのは「中性の軟水」
- 中性の軟水以外を飲み水にすると尿路結石・腎臓病のリスクが上がる
- 水道水はしっかり管理されているため無難な水
- ミネラルウォーターは銘柄によって向き不向きがある
- ウォーターサーバーもメーカーによって向き不向きがある
ペットの体への影響については、水道水で十分に安全だと言うことが分かりました。
普段から水道水を常用しているご家庭では、わざわざ他の水を使うこともないでしょう。
逆に、災害時や万が一に備えたいということであれば、ミネラルウォーターやウォーターサーバーのお水を与えるのもひとつの選択肢です。
我が家では東日本大震災での経験からウォーターサーバーを導入しました。
普段からウォーターサーバーの水を与えていますが、水道水を入れたピュアクリスタルも併用していて、飲む頻度はどちらもあまり変わらないことから、猫にとってはどちらも気にせず飲める水ということでしょう。
今では水質までチェックして選んだウォーターサーバーの水で、私はもちろん、飼い猫2匹も毎日ご機嫌にお水を飲んでくれています。
我が家はこれまで水道水だったので、水にかかる費用の観点で言えば出費は少し増えました。
それでもこの子たちの健康のこと、災害時に飲み水に困らなくていいことを考えれば、置いてよかったと思います。